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暖房はエアコン/ガス/石油のどれがお得かマジメに計算。意外な結果に驚き!

   

エアコンと石油ファンヒーターのどっちを使った方がお得なのか、ちゃんと計算してみました。

カタログの平均消費量みたいな曖昧なものではなく、発生熱量に基づいたちゃんとした計算方法です。

計算条件

計算に使う実測データとして、Webで見つけた[PDF]「家庭用エアコンのCOP実測結果」 - 赤林研究室 - 新潟大学を参考にします。

必要な熱量

部屋を暖めるのに必要な熱量はファンヒーターもエアコンも同じなので公平ですが、ファンヒーターの電気代だけは熱量ではなく時間に依存しています。

暖めるのに必要な熱量は前掲の資料によれば、1時間当たり 800W という数値になっています。

他の計算方法(参考サイト)では、温暖地の熱損失が 4.2 [W/m2・K]、部屋を8畳(13.2m2)、室内外の温度差15℃とすると、

$$4.2\,\mathrm{W/m^2\cdot K}\times 13.24\times 15\,\mathrm{K}=831.6\,\mathrm{W}$$

となってだいたい同じです。必要な熱量は 0.8 kW としましょう。

石油ファンヒーターのメーカー

石油ファンヒーターは電気代もかかります。

現在家庭用ファンヒーターを生産しているのはコロナ・ダイニチ・トヨトミの3社があり、3社がバラバラの燃焼方式を採用しています。それぞれメリット・デメリットが異なるからですね。このうちダイニチの燃焼方式では、点火速度を早めるために消費電力が犠牲になっています。

似たようなクラス(木造9畳)での消費電力はこれくらいです。

コロナ/トヨトミ ダイニチ
点火時間 長い 短い
消費電力 (強/弱)
(20%+80%)
21/11W
(13W)
98/52W
(61W)

強弱の割合は、強運転20%・弱運転80%としておきましょう。

ガスファンヒーター

ガスファンヒーターはシンプルな仕組みなので、消費電力の違いはありません。大手リンナイのガスファンヒーターでは、消費電力18Wだそうです。

石油価格・電気料金・ガス料金

石油価格は全国平均価格として68円/L(1224円/18L)とします。

電気料金とガス料金は、以下の記事で詳しく算出しました。電気料金は27.97円/kWh、LPガスは490円/m3、都市ガスは165.96円/m3とします。

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エアコン

エアコンで難しいのは、効率です。消費電力に対して、部屋を暖めるのに使われた熱量がどれだけ大きいかということです。エアコンの効率はCOPと呼ばれカタログスペックからも計算できますが、カタログ上の能力は最大出力の場合なので現実的ではありません。

前掲の資料によれば、およそ3倍くらいというのが妥当そうに見えます。外が寒い(気温差が大きい)ほど効率は下がります。

必要な熱量は 0.8kW なので電気代は、

$$0.8\,\mathrm{kW}\div 3\times 27.97\,\mathrm{円/kWh}=7.20\,\mathrm{円/h}$$

エアコンの電気代は 7.2 円/hです。

ガスファンヒーター

ガスを燃やす

ガスから得られる熱量は、こちらの記事で詳しく計算しました。都市ガスとLPガスでは価格が異なりますが、得られる熱量も違うので注意しましょう。

都市ガス LPガス
ガス代 165.96 円/m3 490 円/m3
熱量 46.0 MJ/m3 99.1 MJ/m3
熱を得るコスト 13.0 円/kWh 17.8 円/kWh
部屋を暖めるコスト 10.4 円/h 14.2 円/h

電気代

$$18\,\mathrm{W}\div 1000\times 27.97\,\mathrm{円/kWh}=0.50\,\mathrm{円/h}$$

電気代は 0.5 円/h です。

ガス代と合わせると、都市ガス 10.9 円/h、LPガス 14.7 円/h。

石油ファンヒーター

灯油を燃やす

石油ファンヒーターでは灯油を燃やして熱を得ます。灯油は複数の炭化水素の混合物ですが、代表物質「ドデカン」が100%だとします。ドデカンの熱化学方程式は以下。

$$2\mathrm{C_{12}H_{26}}+37\mathrm{O_2}= 24\mathrm{CO_2}+26\mathrm{H_2O}(g)+7513\,\mathrm{kJ}$$

ドデカン1mol当たり7513kJです。ドデカンの分子量170.34(g/mol)と、密度0.7495(g/mL)を使えば、33.06 kJ/mLだと分かります。これを換算すれば、灯油から得られる熱量は 9.18 kWh/L となります。

部屋を1時間暖めるのに使われる灯油は 87.1mL。灯油代は 5.9 円/h です。

ちなみに小型ファンヒーターの5Lタンクの場合、1回の給油で57時間部屋を暖められることになります。

電気代

コロナ/トヨトミ

$$13\,\mathrm{W}\div 1000\times 27.97\,\mathrm{円/kWh}=0.36\,\mathrm{円/h}$$

電気代は 0.4 円/h です。

灯油代と合わせると 6.3 円/h

ダイニチ

$$61\,\mathrm{W}\div 1000\times 27\,\mathrm{円/kWh}=1.71\,\mathrm{円/h}$$

電気代は 1.7 円/h です。

灯油代と合わせると 7.6 円/h

電気ファンヒーター / セラミックヒーター

電気で直接暖めるタイプのヒーターの場合、単に電気を熱に変換するだけです。

$$0.8\,\mathrm{kW}\times 27.97\,\mathrm{円/kWh}=22.4\,\mathrm{円/h}$$

電気代は 22.4 円/h です。

まとめ

エアコン ガスファンヒーター 石油ファンヒーター セラミックヒーター
電気ストーブ
都市ガス LPガス コロナ
トヨトミ
ダイニチ
熱を得る費用 9.3 円/kWh 13.0 円/kWh
+電気代
17.8 円/kWh
+電気代
7.4 円/kWh
+電気代
28.0 円/kWh
部屋を暖める費用
(電気代含む)
7.2 円/h 10.9 円/h 14.7 円/h 6.3 円/h 7.6 円/h 22.4 円/h
1,728 円/月 2,616 円/月 3,528 円/月 1,512 円/月 1,824 円/月 5,376 円/月
設置自由度 ×
(ガスコンセント必要)
運用の手間 ×
(給油必要)

※ 月:1日8時間×30日。

ガスファンヒーターって高いんですね! てっきり石油ファンヒーター並みに安いのかと思っていました。動かすことはできますが、ガスコンセントがあるところに限られるので、すぐに暖まること以外のメリットは少ないです。

最も安いのはコロナ/トヨトミ式の石油ファンヒーター。石油ファンヒーターはコンセントさえあればどこにでも設置できますし、運ぶのも容易です。でも灯油を買いに行く手間と、給油の手間がかかります。価格の変動も灯油が一番大きいです。

エアコンは運用の手間もなく価格も安いので、最も使いやすいですね。問題は移動ができないことや、引っ越しの際に付け外し費用がかかること、そしてそもそも本体が高いことです。でもどうせ夏用にエアコンいるでしょ? エアコンは外気温が低いほど能率が下がるので、寒冷地に向かないことに注意です。

セラミックヒーターは当然バカ高いです。高すぎてせいぜい着替えのときくらいしか使えませんね。

結論:寒冷地以外は暖房もエアコン使っとけ

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